今回はストレスについて”心理学的ストレス理論”と”セルフケア”を取り挙げたいと思います。
【心理学的ストレス理論】とはとても有名な理論で、R.S.ラザルスが提唱したものです。
【心理学的ストレス理論】では、ストレッサーを「ストレスか否か(有害か否か)」を認知的評定を行い、”ストレスコーピング(ストレスの対処)”を経てコーピングが適切にできているかどうかで”心理的ストレス反応”の有無が生じるというものです。
ストレスコーピングには、ソーシャルスキルとソーシャルサポートも関連しています。
ソーシャルスキル(社会的スキル)とは、『対人関係の目標を達成するために、言語的・非言語的な対人行動を適切かつ効果的に実行する能力』(相川, 2005)と定義されています。
ソーシャルサポートとは、『社会的関係の中でやり取りされる支援のこと』をいいます。ストレッサーがあっても、周りの人からサポートを受けることによって、そのストレッサーに対処することができるようになります。
具体的には、下記のようなものがあります。
○情緒的サポート:共感や愛情の提供
○道具的サポート:形のあるものやサービスの提供
○情報的サポート:問題解決に必要なアドバイスや情報の提供
○評価的サポート:肯定的な評価の提供
具体例を挙げると、
入社したばかりの自分には難しすぎる仕事を任された時に、わからないことを「分からない」と伝える、「相談する」ための”ソーシャルスキル”が必要です。それにより適切な支援が得られ、上司や同僚が”ソーシャルサポート”となり、適切な”ストレスコーピング”が取ることができます。
ストレスコーピングには、以下の2つがあります。
○問題焦点型コーピング:直面している問題それ自体の根本的な解決を図るための具体的な行動や認知のこと。
例)計画を立てて実行する、上司や同僚からアドバイスを貰う など
○情動焦点型コーピング:直面している問題によって起こされた不快な気持ちを和らげるための方法。
例)同僚に愚痴を聞いてもらう、カラオケに行って気分を紛らせる など
問題に直面していても、情動焦点型コーピングを専ら取り組んでいても心理的ストレス反応は改善されません。問題焦点型コーピングを中心に行っていく必要があります。
情動焦点型コーピングを行っていた場合、1年後の心理的ストレス反応が低下されるとの報告もあり、いずれも大切であることが分かります。
次は、【セルフケアについて】です。
仕事のストレスは土日に寝て回復する!ということは期待できそうにありません。着実に心身に蓄積して、身体を蝕んでいきます。
積極的に、『気晴らしをする』ことを取り組んでいただきたいです。
『気晴らし』をしてボジティブな感情が得られる活動をしましょう。
ポジティブな感情とストレスについて、以下のような実験があります。
①スピーチ課題を与えて、緊張、不安を感じるストレス場面を経験してもらいます。
②その後、次の④つのグループに分け、映像を見てもらいました。
”楽しいと感じられる映像をみるグループ”、”充実したと感じられる映像をみるグループ”、”特に何も感じない映像をみるグループ”、”悲しいと感じる映像をみるグループ”。
③結果は、”楽しいと感じられる映像をみるグループ”、”充実したと感じられる映像をみるグループ”の2グループが心拍数が平常時に早く戻る結果となりました。
④従って、ポジティブな感情はストレスの回復の効果を早める、ストレスを打ち消す効果があることが示唆されました。
ストレスからの回復として重要な『気晴らし』について、自分の得意なもの、自分のレパートリーを把握することも大切です。
縦軸が活動性の大小を示し、横軸が他者との関与の有無を示しています。メンタルヘルスセミナーでも一番良く挙がるのが、『食事』『おしゃべり』に該当するところで、『飲み会』などはよく伺います。また、左上のところに『ウォーキング(散歩)』と挙げてくださる方も多いです。
何が良いというわけではなく、いずれかの部分に偏ってしまうことはリスクがあります。何かしらライフイベントが起こった際(例えば、コロナで飲み会にいけなくなる)に対応できずにストレスフルになり、メンタルヘルス不調に陥る危険性があります。
ぜひ4領域に少し気晴らしのレパートリーを持てるように意識してみましょう。
【上手な気晴らしのポイント】
以上が、職場のストレスに関する基礎知識 ②【心理学的ストレス理論&セルフケア】となります。