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発達障害とリワーク 〜発達障害の特性とリワークで取り組むこと〜

こんにちは。
沖縄県那覇市首里久場川町にある『リワーク&カウンセリングステーション ココロおき楽』の臨床心理士・公認心理師の脇です。

 

 開所から1年が経ち、利用してくださる方も徐々に増えてきました。
 当事業所に関わらず、近年、”自閉症スペクトラム”や”ADHD”などといった”発達障害”の診断を受けたの方の相談を多く受けます。

 

 そこで、今回は【発達障害について】と【発達障害】の方を対象として行っているリワークの概要についてお話したいと思います。

 

発達障害について

 

 2005年(平成17年)に発達障害者支援法が施行され、その中で発達障害の定義として『自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠如多動性障害、その他、これに類する脳機能障害であり、その症状が通常低年齢で発現するもの』と記述されています。

 
 これは、『環境因が原因で生じているのではなく、何らかの脳機能障害が前提とされており、発達障害は一つの特性とみることができるもの』ということです。

 

 現在では、『自閉症』『アスペルガー症候群』『広汎性発達障害』は『自閉症スぺクトラム症』に代わっています。
 これは、発達障害が細かく分けられるものではなく、スペクトラム(連続体)であり、濃淡(グラデュエーション)になっているためです。

 

発達障害の特性

 

 発達障害の特性について

 
①数が多いこと

 

通常学級に在籍する小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性がある。学年が上がるにつれ減少傾向にあり、高校生は2.2%だった。

文部科学省 2022年12月13日

②外見からの課題のわかりにくさ

 
 「怠けている」「反抗的である」など誤解を受けやすいため、この点も本人の特性をよく理解し、合理的配慮を受けることが望ましいです。

 

③外見上は課題が改善したように見えることもある

 
 小学校の担任や職場の上司が変われば落ち着く時期もある。対応方法によって、外見上の課題は大きく変化します。

 

④家族的背景を持つことがある。

 
 発達障害に関わらず、身長や性格、アレルギー体質と同様に遺伝的影響を受けます。ASDとADHDについては、遺伝的素因は50~60%ともいわれています。

 

⑤いくつかの発達障害が同時に存在していることは珍しくない。

 
 ASDと訴えていても、ADHDやSLDが存在していることも多いです。大切なのはその人が過ごしやすい環境を調整できるかということです。

 

発達障害の方が直面する困り感

 

以下に、私がこれまでに聞いた訴えの中でよく聞かれたものを挙げます。

 

〇聴覚過敏
・「シュレッダーの音が辛い」
・「生活音が苦手」「話し声が苦手」
・でも、「趣味で聞く大きな音は平気」

 

〇触覚過敏
・「ねーねー。と肩を叩かれると痛くてイライラする」
・「急に触れられると不快感が強い」

 

〇空気、雰囲気に対する過敏
・「教室のざわざわした雰囲気が苦手」
・「クラスメイトが自分の机の横に列を作るのが苦手」
・「お祭り(特に好きな場合を除いて)など人が多く集まる場所が辛い」
・クラスメイトがどうして授業をちゃんと聞かないか許せない。係りの仕事などをちゃんとやらないことにイライラしてしまう。

 

〇環境の変化に対する過敏
・上司・部下・同僚の異動(本人の業務の変化はなし)による環境の変化への強いストレス症状。

 

〇見通しを立てることの苦手さ
・スケジュールが変わると固まってしまう、癇癪を起す、臨機応変な対応ができない。
・日々の決まったことを状況に応じて対応の変化が苦手(雨の日でも日課の水やりをする、インフルエンザでも取り組む など)

 

〇自身の感情や考えを表現することが苦手
・感想や考えを述べることが苦手。特に読書感想文や作文、大学のレポートなど。
・「わからない」と言わない(言えない)。

 

〇マルチタスクの弱さ
・Aをみながら(やりながら)、Bをやることが苦手。
・次にやるべきことを念頭に置いて、取り組むことが苦手。

 

〇コミュニケーション
・3人以上の集団になると、誰が誰に話をして、誰に話せばいいのかわからなくなる。
・緊張した際に、場に不相応な失礼な態度やぶっきら棒な言い方、態度をとってしまう。

 

 

発達障害の方の就労支援

 

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 発達障害の特性がある方で、就労の定着が難しい方の中には、『仕事をするためのハードスキル』や一定の『社会生活のためのソフトスキル』を有していても、『日常生活のためのライフスキル』が身についていない方がいらっしゃいます。

 

 具体的には、以下のようなものがあります。

 
・遅刻や欠勤がある
・食事や睡眠が不規則なため、健康管理に課題がある。
・趣味や時間にお金を使い過ぎてしまう。
・規則正しく仕事に通えるような生活リズムが整っていない。
・服装や髪形、持ち物などの身だしなみを整えることが苦手で仕事で問題になる。
・ストレスの対処が苦手で、趣味もないため休日にストレスをため込んでしまう。

 

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  上記のような課題に取り組んで、”就職”を目標にするのではなく、ご本人が健康的に安定して”就労定着”するようにしていくことが重要であると考えています。

 

 私どものリワークでの取り組みでは、週に1回担当と面談を組んでいること、集団認知行動療法のプログラムの中で生活リズムについても確認して、一緒に取り組んでいます。

 

 その上で、ご自身の発達障害特性について自己理解していくサポートを行っています。

 

合理的配慮

 

  合理的配慮とは、『障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせておこなわれる配慮のこと』です。

 
  
 私たちの事業所では、本人の診断の内容にかかわらず、自分の得意不得意や性格などについて自己理解をし、『わたしの取扱説明書』を作ることをプログラムの一つとしています。

 

 その理由として、就職の際に合理的配慮を申請するためには、自己理解が不可欠だからです。他者理解を求めるために、まずは自己理解を進めていく。その上で、合理的配慮の内容などについても詰めていきます。

  

 リワークでの様々な活動を通して、自分に合理的配慮が必要か、そうでないかを検討することも自己理解の一つです。

 

 今回は基本的な発達障害についての内容とリワークでの取り組みについての内容でした。
 当施設の取り組みに少しでも興味を持ってくださった方は是非ご連絡いただければと思います。
 ありがとうございました。

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